2009年12月29日

『八甲田山 死の彷徨』

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『孤高の人』を読んだら読もうと思っていた『八甲田山 死の彷徨』を読んだ。

明治35年(1903年)、日露戦争開戦を間近に控えた日本軍は耐寒訓練として八甲田山域に
おいて雪中行軍を行う。
軍の幹部は青森を拠点とする第5連隊と弘前を拠点とする第31連隊それぞれに
逆方向から八甲田山を通過するように命じ、その結果第31連隊は約10日間の行軍を
見事成し終えた一方、第5連隊は210名中199名が命を落とす日本遭難史における
記録的な大惨事となった。
このような大遭難が起きた背景にはさまざまな要因が複雑に絡み合っているが、
主な原因はまさにこの時、記録的な寒波が八甲田周辺を襲ったこと、雪山に対する装備の不備、
そして、なによりも現場での指揮官の判断ミス(混乱)であったと思う。
それらのことがこの小説では克明に記されており、筆者の膨大な調査、研究がひしひしと感じられた。
もちろんフィクションの部分も多いとは思うが、この遭難事件に対する著者なりの考えが
この一冊に集約されていると思う。
話に引き込まれてあっという間に読み終えた。

この小説を読んで改めて冬山の恐ろしさを痛感した。
まず今の時代にこんな大所帯で雪山に入ることは考えられないが、グループで雪山へ入った時の
指揮能力、判断力など反面教師的に学ぶことができた。
1977年に映画も公開されているようなので、今度DVDを探してみようかな。

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2009年12月07日

雪山の基本

今月23日に開催されるSHMW主催の雪山机上講座へ参加するため、
当日までに各自読んでおいた方がよいとされている本を買ってきた。

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エイ出版といえば、フィールドライフやPEAKS等どちらかというとミーハーなイメージが強いが、
こういうしっかりした本も出してたんやな。
詳細はSHMWのHPをチェック!

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2009年08月29日

孤高の人

遅ればせながら『孤高の人』を読んだ。
すでに読まれた方も多いと思うので、あまり感想は書かないが、
さすが山岳小説の定番だという内容であった。

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加藤文太郎という人物はファーストバックパッキングというものが日本に入ってくる前から
すでに実践していたんだな。
それには、石を背負っての徒歩通勤や、庭でのビバーク訓練など地道な努力があったようだ。
自分はそこまでやろうとは思わないが…笑
僕は僕でこれから自分なりのスタイルを確立していこうと思う。

他に昔の山小屋の雰囲気も伝わってきて、なかなか面白かった。

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2009年05月08日

『傷だらけの百名山』シリーズ

日本の山、そして百名山のことを考えるための本を紹介。
シリーズ通して3冊あるが、それぞれ文庫で販売されている。

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@加藤久晴(著)『傷だらけの百名山』新風舎(2005/04)
主に筆者の体験に基づいて書かれており、説得力がある。
また、各章に分けて百名山を取り上げているが、
その話題に関連したことを百名山以外の例もあげて述べてある。
難しい用語は特になく、読みやすく書かれている。

A加藤久晴(著)『続 傷だらけの百名山』新風舎(2005/05)
前作に引き続き、日本の百名山が抱える問題を各章に分けて例を基に論じられている。
その中でも本書は開発計画に立ち向かう市民団体のたたかいと、
それを取材し報道するメディアへの圧力の問題に重点が置かれている。

B加藤久晴(著)『新 傷だらけの百名山』新風舎(2005/06)
シリーズ完結編。
2部構成になっており、第1部は前作、前々作に続き『危機を迎える山々の惨状を紹介』
している。
第2部では『ニッポン・ブナ山紀行』が収録されており、
日本のブナ林の価値と重要性を強く訴えかけている。

3冊といってもそれぞれ話が独立しているので、1冊だけでも十分ためになると思う。

百名山に登る前に一度読んでみてはいかがだろう?人気ブログランキングへ
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2009年03月27日

本多勝一(著)『山を考える』朝日新聞社(1986/2/20)

本書は新聞記者である本多氏がこれまで新聞や雑誌に書いてきた評論や
レポートをまとめたものである。
この本を読んで驚いたことは、各記事の書かれた年代である。
初版本の出版は 1966 年、今から 43年前であるが、まったく古さを感じさせない。
これはどういうことか、つまり日本における登山の体質がほとんど
変わっていないということである。
現在では山をめぐる状況も大きく変わり、山の登り方も多様化してきてはいるが、
やはりその根本となる人々の山に対する考え方はなにも進歩していないと言える。
百名山に関しても新たに岩崎元郎氏が「新日本百名山」なるものをつくり、
観光地化、産業化が進んでいる。
著者が当時の登山のあり方を分析している一説を以下に引用する。


登山とは、改めて都会と結びつけるまでもなく、本質的に都会的な現象なのだ。
このような背景が登山にある以上、山は最大限「非都会的」な環境でなければならない。
山が人間であふれ、ホテルが並び、ケーブルがつき、「アルプス銀座」
などという名も生まれたりすれば、山がそれだけ都会化してしまう。
(中略)
このような「山への都会の侵入」を完全に防いだらどうなるか。
ケーブルを禁止し、高山植物はもちろん、木の枝一本拾うのも禁止し、
ホテルなど厳禁、要するに原始の姿をそのまま残して、完璧な保護をするのだ。
カナダやスウェーデンあたりの一部ではすでにやっているが……。
実はこうなったときこそ、都会が山を完全に征服したことを意味する。


では、僕たちはこれからどうすればよいのだろうか。
もちろん保護は必要である。
だが、山が都会化してしまえば、わざわざ山に来る必要もなくなる。
要するに、極端にどちらかを進めるのではなく、
双方のバランスの取り方が大事であると僕は考える。
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加藤則芳(著)『日本の国立公園』平凡社(2000/12)

この著書で加藤さんは日本の国立公園の現状と未来を問い、
自然保護とより良い利用のために大胆な提言をしている。
具体的には、米国の国立公園誕生から日本の国立公園に至る過程と背景を紹介し、
加藤さん自信が実際に各国立公園を巡って感じた事柄をルポしている。

各国立公園が抱える問題・背景・特徴などが分かりやすく解説されており
「本書が日本のインタープリターとしての役割を担えればと、私は願っている」と
いう著者の思いが伝わってくる一冊である。
加藤さんは執筆活動を兼ねて国内外の山に数多く登られており、
その経験から語られる彼独自の思想には説得力がある。
私もその思想に共感する一人である。
その一例を挙げると、「山の頂上(ピーク)に関して、頂上に辿り着くことが
登山だという考え方を持つ日本人が多いが、単に頂上を目指すのではなく、
頂上はあくまでロングトレイルの過程での一つの特徴でしかない」という考え方は
百名山ハンターに考えてもらいたい一文である。
また、行政をけなすばかりでなく、環境省を応援しようという呼びかけも行っている。

加藤さんは執筆活動だけでなく、米国の国立公園をモデルにしたトレイル作りを
日本各地で行っている。
その事例として、高島トレイルや信越トレイルがある。
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2009年02月04日

おすすめ本

パタゴニアの創始者イヴォン・シュイナード氏が自社の理念を書き記した一冊。

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読み終えて(というか途中からすでに)イヴォン氏の考え方にこれからの企業の
あり方というものを見た気がする。
今までもなんとなくパタゴニアは環境運動に力を入れているというのは知っていたが、
まさかここまで徹底して成されていたとは、正直驚いた。

この本の中から印象に残った考え方を少し挙げてみようと思う。
注)本文そのままではない
流行は必要ない。本物が必要
・毎年新しいものを作る必要はない。廃棄が増えるだけ
・本物であればロゴなどなくてもわかる
・失敗を隠さず、受け入れ公表する
・価格を上げるなら、その理由を消費者にはっきりと示すべき
・買ってもらえる製品を作るだけでなく、買ってくれる側を開拓する必要性


本来は当たり前のことなのだが、これができていない企業が今は多すぎる。
パタゴニアのようにここまで自社の製品に関して責任を持っている企業なら、
買う側も信頼して製品を買うことができるし、売る側も本当に自信を持って売れると思う。
そういう僕はほとんどパタゴニア製品を買ったことはないが…。
もう手遅れだと言う意見もあるけど、これからこんな企業が増えていくと地球も変わるのかな。
posted by terra at 01:03 | Comment(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月16日

山の本と地図

今手元にある山関係の本と地図。

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大学の調査関係の本が多い。地図は他に国土交通省の25,000分の1の地図もあり。

詳しい紹介はちょこちょこしていこうと思う。
posted by terra at 00:09 | Comment(0) | books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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