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『孤高の人』を読んだら読もうと思っていた『八甲田山 死の彷徨』を読んだ。
明治35年(1903年)、日露戦争開戦を間近に控えた日本軍は耐寒訓練として八甲田山域に
おいて雪中行軍を行う。
軍の幹部は青森を拠点とする第5連隊と弘前を拠点とする第31連隊それぞれに
逆方向から八甲田山を通過するように命じ、その結果第31連隊は約10日間の行軍を
見事成し終えた一方、第5連隊は210名中199名が命を落とす日本遭難史における
記録的な大惨事となった。
このような大遭難が起きた背景にはさまざまな要因が複雑に絡み合っているが、
主な原因はまさにこの時、記録的な寒波が八甲田周辺を襲ったこと、雪山に対する装備の不備、
そして、なによりも現場での指揮官の判断ミス(混乱)であったと思う。
それらのことがこの小説では克明に記されており、筆者の膨大な調査、研究がひしひしと感じられた。
もちろんフィクションの部分も多いとは思うが、この遭難事件に対する著者なりの考えが
この一冊に集約されていると思う。
話に引き込まれてあっという間に読み終えた。
この小説を読んで改めて冬山の恐ろしさを痛感した。
まず今の時代にこんな大所帯で雪山に入ることは考えられないが、グループで雪山へ入った時の
指揮能力、判断力など反面教師的に学ぶことができた。
1977年に映画も公開されているようなので、今度DVDを探してみようかな。
来月11〜13日に行く予定の八ヶ岳に向けて気が引き締まった

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