今回の大雪・十勝縦走を通して感じたことを書こうと思う。
熊大雪山は熊の生息地である。よって人間はそこにお邪魔させてもらう気持ちで行かねばならない。
今回も白雲避難小屋から双眼鏡で熊の親子を見たし、トムラウシ山〜オプタテシケ山はいたる所に熊の糞が落ちていた。
所々自分が通る直前までそこにいたように、獣の匂いがプンプンしていた。
ばったり会うことがないようにしっかりと音を出して自分の存在を主張したい。
もし、熊の存在に自分が先に気付いた時はあまり近くで音を出すと威嚇されていると勘違いされるので、
音を消してそっと立ち去るべきである。
天気・気候はっきり行って北海道の山の気候は本州の山よりもかなり過酷である印象を受けた。
よく北海道は緯度が高いので、標高2,000mでも北アルプスの3,000m級の山々の気温並だと言われているが、
そんなレベルではない。
風は強く、しかも冷たい。
8月初旬に雨の北アルプスを歩いたが、今回の大雪・十勝縦走の方が心身ともに消耗が激しかった。
今後北海道の山を考えておられる方には十分な防寒対策と、積極的な避難小屋の利用をお勧めする。
水大雪の水はエキノコックス対策として煮沸することが奨励されている。
ただし、この方法だと燃料&時間がかかるので昨年導入した浄水器を持っていった。
歩き出した前日に雪が降ったこともあり、水場は9月でもほとんど問題なかったが
十勝岳付近での取水はこの時期だと厳しいだろう。
僕は1Lのハイドレーションパック1個とプラティパス1L、
それに500mlのペットボトルを水筒として持っていった。
1日の行動水はハイドレーション1Lで十分だったが、
炊事用にプラティパス2.5Lも持って行けばよかったと後で後悔した。
取水ポイントは限られているので幕営地でその日の行動水はしっかり補給しておきたい。
実際に僕が水を汲んだポイントは1日目旭岳キャンプ場、2日目白雲避難小屋、
3日目ヒサゴ沼、4日目双子池であった。
十勝岳を越えた所に建っている上ホロ避難小屋の水場は涸れていた。
トイレ基本的に大雪では携帯トイレの使用が前提となっているが、
黒岳避難小屋、白雲避難小屋、ヒサゴ避難小屋、南沼キャンプ場、上ホロ避難小屋には
備え付けのトイレがあり、携帯トイレなしで使うことができる。
しかし、小屋から小屋までの距離が長いので、携帯トイレなしというわけには
いかない。
また、備え付けのトイレを使う場合でも使用済みの紙は各自で持ち帰ることに
なっているので、ジップロックなどしっかり密封出来るものが必要となる。
僕の場合はα米の袋を紙入れにし、さらにこれを携帯トイレの密封袋に入れたので
まったく問題なかった。
出来ればウ○コは持ち帰りたく物であるが、今回は幸いにも(?)小の方だけで済んだ。
利尻山もそうだが、北海道の多くの山で携帯トイレの使用が推奨されているようだ。
ちなみに旭岳と十勝岳の登山口には携帯トイレの回収ボックスが完備されていた。
避難小屋大雪・十勝縦走では要所要所に避難小屋が建てられているので、
頑張れば避難小屋の利用だけで縦走することも可能だと思う。
6〜9月のシーズン中には黒岳・白雲の両避難小屋には管理人が常駐しており、
協力金として300〜1,000円ほど払うことになっている。
また、シーズンオフでも使用可能で冬はバックカントリースキーヤーや
スノーボーダーが利用している。
僕が1泊目に泊まった白雲避難小屋は土曜ということもあって20人以上の登山者がいた。
もともと僕はこの避難小屋横の幕営地にテントを張ろうと思っていたのだが、
熊が出没しているということでテントは設営禁止になっていた。
そのかわり、テント料金で小屋に泊まらせてもらった。
7,8月の繁忙期はこの小屋も登山者でごった返すらしいが、
9月になるとずいぶん静かになるはずだが、この時期はこの時期で
常連さんが多くやってくるようだ。
というのも、日没後はかなり気温が下がる9月は管理人さんと一緒に
鍋パーティーが開かれるのだ。
各自が持ち寄った食材でその日のメニューが決まるのだが、僕ヶ泊まった日は
キムチ鍋だった。
しかし、僕はもともとテント泊の予定だったので、ストイックに
この大宴会の片隅でキムチ鍋の香りをおかずにα米とレトルトカレーを食べた。
正直かなり仲間に入りたかったが、いきなり泊まって食材もなしに
ご馳走になるのも悪いので、声はかけなかった。
もし、今度行ったときは絶対鍋を突いてやる!
少し話がそれたが、僕が泊まった白雲小屋もヒサゴ小屋も休憩した上ホロ小屋も
雪や風雨に負けないかなり頑丈な作りで快適に炊事&睡眠できた。
白雲小屋管理人の有馬さんにお話を伺うと、この小屋は築30年以上経っており
小屋の傷みも激しいようだ。
もともとこの小屋は現環境省と道が資金を出し、地元の上川町が管理をしていて、
有馬さんはシーズンになると山に上がってくるそうだが、
2人で交代してやっているので小屋には長く居ても1〜2週間らしい。
ちなみに管理人になって今シーズンで6年目になるそうだ。
この小屋は北アルプスのように営業を主たる目的とはしていないが、
最低限小屋を維持してゆくために年間1200人の宿泊が必要なのだそうだ。
有馬さんとは山のトイレ事情や水のことなど1時間ほど話したが、
本当に勉強熱心な方で、より良い小屋のあり方を模索しておられた。
トレイル今回は思わぬ降雪に出鼻を挫かれ、一時はどうなるかと思ったが、
進むにつれ雪も消え比較的歩きやすいトレイルが続いた。
しかし、高根ヶ原〜五色岳やトムラウシ山〜オプタテシケ山の一部では
笹やハイマツの藪漕ぎを強いられる箇所もあった。
また、残雪やぬかるみ、ガレ場も多いのでスパッツ(ゲイター)はあった方が
良いだろう。自分は持って行かずに後で後悔…。
植生・紅葉詳しい高山植物の名前はわからないが、北アルプスでは見かけることのない
植物も多くあった。
しかし、やはり一番多かったのはチングルマではないかと思う。
今年の紅葉は例年よりも早いらしく、旭岳〜トムラウシ山ではすでにピークを
過ぎた感じだった。
逆に、トムラウシ山〜十勝岳は赤や黄色の鮮やかな景色が広がっていた。
特に南沼キャンプ指定地〜ツリガネ山途中のカール状地形の紅葉は本当に見ていて
飽きることがなかった。
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